2013年7月24日水曜日

人間の怖い話「死の暗号文」2

前回→人間の怖い話「死の暗号文」

バイトから帰り、自宅でのんびりしていると、亀山くんの携帯が1通のメールを受信した。

開いてみると、田中さんの言っていたとおり

「3」

の数字だった。

田中さん、すげー。

本当に暗号解読したんだ。

でも、驚いてもいられない。

なにせ、「3」を受信したら、携帯アドレスを変えないといけない約束なのだ。

かなり面倒だったが、亀山くんはその場でメールアドレスを変更した。

「あーーあ、これでまたいろんな人にアドレス変更を知らせないといけなくなったな。めんどくせー。」

一人でぼやく。

そして、すぐに携帯を手にし、田中さんへと電話する。

アドレスを変更したら、暗号の意味を教えてもらえる約束だ。

プルルルルー

田中さんも、バイト上がっている時間だ。

電話出るだろ。

あれ?

出ないな・・・・

プルルルルー

プルルルルー

8コール目で、やっと電話がつながった。

「あ、もしもし、田中さん?お疲れ様です、亀山です。」

「ああ、亀山くん。」

「あの実は、あの後田中さんの言うとおり、数字の3をメール受信したんすよ。」

「え?それで、アドレスは変更したのか!?」

「はい、しましたよ。」

「本当にしたのか?」

「はい、本当です。だから、暗号の意味を教えてくださいよ。」


少し、時間を置いてから、田中さんは暗号の意味を亀山くんに教えてくれた。





亀山くんは、暗号の意味を知って、心底恐怖した。

あのメール送って来たの誰だよ。。。。

おそらく、心霊的なことじゃなさそうだから。

これは、誰か人間の悪意によるものなのだろうか?

人間って怖い。

亀山くんは、そう思わずに入られなかった。







実は、あのメールの数字には次のような意味があったのだ。

昔、ポケットベルと言うものがあった。

通称ポケベルだ。

ポケベルは、数字で文章を打ち込んでいく。

数字2文字で、1つの言葉になるのだ。

つまり、ポケベル方式で亀山くんに送られてきた数字を解読していくと、

「1」と「5」で{お}。

「7」と「1」で{ま}。

「1」と「4」で{え}。

「0」と「2」で{を}。

「2」と「5」で{こ}。

「9」と「5」で{ろ}。

おまえをころ・・・・

その次に送られて来たのが、「3」。

おそらくその次は、「3」。

そうなると、

「お前を殺す」

という文字になってしまうのだ。




その後、亀山くんがアドレスを変更してから、もうあの数字を受信することはなくなったそうだ。

もしも、あのまま同じアドレスを使い続けていたら、亀山くんはどうなってしまっていたのだろうか・・・・?





人間の怖い話「死の暗号文」>終わり




死の暗号文と携帯メール2

2013年7月23日火曜日

人間の怖い話「死の暗号文」

人間の怖い話「死の暗号文」

これは、本当にあった人間の怖い話。

ある日深夜1時、亀山くんの携帯にメールが入った。

見てみると、知らないアドレスから送られていて、内容は数字一文字、

「1」

とだけ書かれていた。

なんだ?

と思った亀山くんは、間違いメールだと思ってまったく気にしなかったという。

でも、次の日も昨日と同じ時間、深夜1時に昨日と同じアドレスからメールを受信した。

今度は、数字の「5」と書かれていた。

なにこれ?

「最近は、こういう悪戯が流行ってるの?」くらいにしか思っていなかった亀山くん。

でも、次の日も、その次の日も、毎日同じ時間に同じアドレスからメールが届き、少し気味が悪くなってきた。

送られてきたのは、最初の日から順番に

「1」、「5」、「7」、「1」、「1」、「4」、「0」、「2」、「2」、「5」、「9」、「5」

といった数字が1日1通ずつだった。

なんだこれ?

電話番号?

住所?

何かのID?

いろいろ考えてみたが、分からない。

友達にもたくさん聞いてみたが、誰も明確な答えが出せず。

結局、この数字に意味なんてない。

ただの悪戯だ、と思っていたときだった。

亀山くんは、バイト先の休憩室で、自分の携帯と睨めっこしていると、後ろからベテランの先輩田中さんが顔を覗かせた。

「なに見てんの?亀山くん。」

「あ、田中さん。いや、これ、俺の携帯に毎日送られてくるメールなんすけど、1日1通必ず送られてきて、毎回数字が1文字だけし書かれていないんすよ。ほら。」

田中さんにメールを見せてみると、

「おっ。暗号だね(笑)俺、こういうミステリー系好きなんだよ。ちょっと全部の文字見せてもらえる?」

亀山くんは、田中さんに送られてきたすべての数字を紙に書いて見せた。

「なるほど。これが、謎の暗号かー。おっけー。亀山くん、バイト終わるの22時でしょ?それまでに考えておくよ。」

と言って、笑っていた。

田中さんは、もう20年くらいこのバイトを続けているベテランだ。

仕事もできるし、かなり頭もいい。

なんで、このバイトにこだわっているのか、それも十分ミステリーだった(笑)

・・・・・・・・・22時

バイト終了。

亀山くんは、再び休憩室に戻ってきた。

少しすると、田中さんも休憩室に顔を出した。

そして、真剣な顔でこう言ったんだ。

「亀山くん、さっきの暗号だけど。あれ、悪戯じゃなかったら、かなりマズイかもよ・・・・」

「え?暗号解けたんですか?」

「ああ、一応解けた。悪いことは言わないから、今日中に携帯のアドレス変えたほうが良い・・・・」

すごく真剣な口調だった。

「え、教えてくださいよ、暗号の意味!」

「うーん。。。。おそらく、次に送られてくる数字は3だと思う。でも、それを見ると非常にまずいんだ。」

「なんですかー。そこまで言って言わないなんて、逆に気になるじゃないですか!」

「とにかく、次の数字が3だとしたら、携帯のアドレスを変えること。これだけは、俺と約束してくれないか?」

とんでもなく真剣なまなざしに、亀山くんもイエスの返事をしてしまった。

「分かりましたよ。じゃあ、次が3ならアドレス変えますから、そしたら、暗号の意味教えてくださいね。」

「・・・・・・・・・・ああ、分かった。アドレス変えたら、教えてやる。でも、絶対にアドレスは変えてくれ。これは、約束というより、先輩としての命令だ!」

そういうと、田中さんは休憩室を出て行った。

普段、あんなに温厚な田中さんが、「命令だ」なんて言うなんて。。。。

いったい、あの暗号にはどんな意味があるって言うんだ??




続き→人間の怖い話「死の暗号文」2



参考:死の暗号文と携帯メール

2013年7月22日月曜日

怖い話「アンティークの鏡」

怖い話「アンティークの鏡」

これは本当にあった怖い話だ。

A子さんは、知り合いからアンティークの鏡をもらった。

おとぎ話の中に出てきそうな鏡で、A子さんもそれを一目見て気に入ってしまった。


毎日、化粧をするとき、メイクを落とすとき、お風呂上りのスキンケア、その鏡の前で行ったという。


その鏡を使い出してからというもの、A子さんは日に日に元気がなくなっていった。


友達からも、


「A子、顔色悪いよ?大丈夫?」


などと、心配される日も多くなった。

でも、最近少し疲れているのかな、とそれほど気にも留めず。

だってまさか、頂き物のアンティークの鏡が、自分の不調と関係しているだなんて、このときは夢にも思わなかったから。

あるとき、A子さんは夜寝ているときに夢を見た。


自分が、例のアンティークの鏡の前でお化粧している夢だ。

でも、鏡に映る自分の姿が、だんだんと知らない女性の姿に変わっていった。


まったく見たこともない、外国の女性の姿に。


その女性は、化粧をしているのだが、突然苦しみだす。


見ると、後ろから、これまた知らない男から首を絞められているのだ。


苦しい・・・・


女が首を絞められていると、なぜだかA子さんも同じように苦しくなった。

過去味わったことがないくらいの苦しみ。

オェッ

と吐きそうになるくらいの苦しみの後、フワッと意識が遠くなり気持ち良さすら覚え、そこで記憶がなくなったという。


気がつくと、朝だった。


夢から覚めたのだ。


なんかいやな夢だったな、と思いながらも寝起きでトイレに行くA子さん。

トイレの鏡に映る自分の姿を見て愕然とした。


最悪の顔色、目の下は酷いクマ、なによりもびっくりしたのは、首筋に絞められたようなアザがくっきりと残っていたのだ。

なにこれ・・・・?


首を何度もこすってみても、消えないそのアザ。


さっきのは夢ではなかったのか?


その日から、A子さんは、毎晩のように同じ夢を見た。


アンティークの鏡の前で自分が化粧をしていると、いつの間にか知らない女の人の姿に変わっていて、最後は知らない男に首を絞められて苦しくなり起きるのだ。


それ以降、益々衰弱していくA子さん。


・・・・・・・あるとき、A子さんは霊感の強い女性と偶然にも知り合った。


その霊感の強い女性に真っ先に言われた言葉が、


「あなた、なにを連れてるのっ?!今すぐ、何とかしないと、身体を乗っ取られるよっ!」


というものだった。


言っている意味がよく分からないが、本当は思い当たるところがあるA子さん。



その霊感の強い女性に、アンティークの鏡のことを詳しく話した。


すると、その女性は「悪いことは言わないから、すぐにでもその鏡を手放しなさい。そうしないと大変なことになる。」と、真剣な顔で言っていた。



A子さんは、次の日、アンティークの鏡をリサイクルショップに持ち込み、売却した。



すると、あれだけ悪かった体調がみるみる良くなり、例の怖い夢、首を絞められる夢も見なくなった。



物には、人の念がこもると言う。


古い物なら、それだけ念がつきやすくて当然かもしれない。


あの、アンティークの鏡は今もどこかで、誰かが使っているのだろうか・・・・?



<怖い話「アンティークの鏡」>終わり

引っ越しました:アンティークの鏡

2013年7月21日日曜日

死を招く子供の幽霊

死を招く子供の幽霊

これはAさんが、実際に体験した怖い話。

Aさんは、あるとき新規の美容室に髪を切りに行った。


こじんまりした店内だけれど、お洒落だし、お客さんは多いし、スタッフさんの対応は良いしで、かなり好印象の美容室だったという。

あ、今度からはこの美容室に来ようかなとリピートも考えられるくらい、良いところだったのだが・・・・


1つだけ、気になることもあった。


その美容室の、新人らしい男性スタッフ。

まだ、入って日も浅いのかもしれない。

シャンプーを専門にやっている男性スタッフがいた。

Aさんは、別の女性スタッフからシャンプーをしてもらったので、直接は接点はなかった。

でも、その男性スタッフが少しおかしいことに気が付いてしまったのだという。


正確に言えば、その男性スタッフ自体は、真面目そうな好青年でおかしいところはないのだけれど、その男性の両隣に3歳くらいの男女の子供がベッタリとくっついているのだ。

Aさんはそれを見て、最初はそのスタッフの子供さんだと思ったらしい。

若いパパなのかな?と。

でも、Aさん以外の人には、どうやらその子供たちは見えていないようなのだ。


「あれ?あんなにはっきり見えているのに、あれが幽霊?」


と思えるくらい、はっきり見えているその子供たち。



でも、その存在を誰も気にしていない。

子供のことを、別のスタッフに聞いても、「?」という顔をされるだけ。



なによりも不気味だったのが、、、、その子供たちは、ときどきその男性スタッフに噛み付くのだとか。

甘噛みとかそう言うレベルではなく、まるでフライドチキンでも食べているかのように、ムシャムシャ噛り付いていたのだ。

かじられる度に、少し痛みがあるのか、男性スタッフは顔を歪めていたという。



その後、Aさんはその美容室に、1年後に1度行ったのだが。

そのときには、例の男性スタッフの姿は店内にはなかった。

他のスタッフさんに、さりげなくその男性スタッフのことを聞いてみると、

「ああ、それT君のことですね。T君、急に無断欠勤が多くなって、今から1年近く前に辞めちゃいましたよ。」

と言っていた。

1年前というと、Aさんがその店で子供たちにかじられていたT君を目撃したころだ。

そして、他のスタッフはオフレコでこう話してくれた。

「噂ですけど、T君は亡くなったって噂があるんです。最後の方、すごく顔色悪かったから。あ、これ内緒ですよ。」

もしも、この噂が本当だとしたら・・・・



あの、子供たちは死を招く子供の幽霊ということになるのだろうか・・・・?



Aさんは、それ以来、その美容室には行っていない。



<怖い話・死を招く子供の幽霊>終わり

引っ越しました:死を招く子供の幽霊

2013年7月20日土曜日

地方のホテルの怖い話「生首」

地方のホテルの怖い話「生首」

これは、実際にあった怖い話。

俺は、仕事で出張が多く、そのときは職場の後輩と、ある地方(地理的には南)のホテルに泊まったときの話だ。

チェックインして、部屋に入ると、なんだか寒気がした。

「この部屋、嫌だな、不気味だな。」

と、直感的に感じたのだ。

何がどう嫌なのか、不気味なのかは説明できない。

でも、あえて言えば、その部屋の中にいると、どうしても誰かに見られているような感覚になるのだ。

霊感がそれほど強いわけでもないが、その嫌な感覚から逃れるために、部屋をいろいろ調べてみることにした。

トイレ、風呂場、冷蔵庫と、いろいろ見て回ったが異常はない。

気のせいだったかな?

と、最後にクローゼットを開けたときのことだった。

クローゼットを開けると、暗闇の中から男の生首がこちらをジッと凝視していたのだ。

俺はあまりのことに言葉を失い、その場に尻餅をついてしまった。

生首は、目だけ動かして、相変わらず俺を見ている。

次の瞬間、俺は悲鳴を上げながら、その部屋を飛び出した。

すぐに、後輩の部屋に駆け込み、事情を説明する。

後輩の顔を見ると、最初は半信半疑といった感じだったが、俺が必死に話すものだから、なんとか信じてくれたようで、俺の部屋に一緒に来てくれることになった。

部屋に戻ると、相変わらずクローゼットは開けっ放しのまま。

でも、先ほどの生首は消えていた。

後輩は笑いながら、

「○○さん、怖かったから幻でも見ていたんじゃないですか?」

と、クローゼットの中を覗いている。

あの生首は、幻だったのだろうか?

と、そのとき後輩があるものを発見したのだ。

クローゼットの天井のところ、よく見なければ分からない位置に、1枚の古いお札が貼ってあった。

俺たちはそれを見て、恐怖に震えた。

やはり、この部屋には何かあるんだ。

急いで、フロントに出向き、部屋を変えてくれるよう掛け合った。

受付スタッフは、奥から責任者らしき人物を連れてきたので、俺はもう一度事情を説明。

すると、あっさりと部屋の移動を了承してくれた。


別の部屋の鍵を渡してくれるときに、その責任者らしき人物は、

「変な噂が立つとアレなんで、このことは人に言わないでくださいね。」

と、さりげなく釘を刺してきた。

きっと、あの部屋には、何かしらのいわくがあるのだと確信した瞬間だった。


移動した部屋では何事もなく、過ごせたが、ホテルはいろんな人間が泊まる場所。


怨念などが溜まっていてもおかしくない場所なのかもしれない。


あなたも、地方のホテルに泊まるときは、部屋を念入りにチェックしたほうがいいかもしれない。


<地方のホテルの怖い話「生首」>終わり

引っ越しました:地方のホテル

2013年7月19日金曜日

廃病院への肝試しと心霊体験

廃病院への肝試しと心霊体験

いつも男ばかりでつるんでいた俺に、彼女ができた。

俺にはもったいないくらいかわいい女の子だったが、嫉妬深いことだけが玉に瑕だった。

真面目ではなかった俺は、友達とのしがらみも多く、男同士の付き合いが日常茶飯事。


その日は、男7人で地元の有名な心霊スポットの廃病院へ、肝試しに行くことになっていた。

ただ、彼女にはどうしても男だけの付き合いというものが理解できないようで、なかなか納得してくれない。

困った俺は、心霊スポットの廃病院に到着すると、男7人で集合写真を撮影し、彼女にメールで送った。

これなら、分かってもらえるだろう。




その後、心霊スポットでは、はしゃぎにはしゃいだ。

男だけで、「ワーキャー」言いながら、楽しんだ。

だが、仲間の1人Aだけが顔色が悪く、微妙に震えているようだった。

「具合が悪いのか?」と尋ねると、

「・・・・ここは、マジでやばい・・・帰ったほうがいい。」

と言い出す。

「こいつビビッてるよー。」

と、みんなでAを冷やかして遊ぶ。

でも、Aはそれで退くことはなく、なおも

「女だ・・・・着物着た女が俺たちを追いかけてきてるんだ・・・・」

と言っていた。

まあ、確かに心霊スポットというだけあって廃病院への肝試しは、ちょっとは不気味だ。

心霊体験を妄想して、ビビッてしまうAの気持ちが内心分からないでもない。

今は、そっとしておいてやるか。

仲間たちは多少気を利かせて、もうAをからかうのはやめた。




ん?



俺の携帯に、彼女からメールが入っていた。

中身を見ると、

「誰よ?この女?」

と、絵文字もなく怒った様子の文章だった。

女って何だ?

俺は意味が分からない。


慌てて、彼女に電話する。

こいつは何か勘違いしているんだ。


すぐに彼女は電話に出てくれたが、怒った様子だった。

「男だけで肝試し行くって言ってたのに!」

「ああ、男だけだよ。写真送ったろ?」

「じゃあ、○君(俺のこと)の隣に写っている着物の女誰よ?仲良さそうに腕なんて組んじゃって・・・・」

俺は絶句した。

なんだよ、着物の女って?

腕組むってなんだよ?

全身が凍るように冷たくなる。

俺は、電話をいったん切ると、Aの元に走った。

そして、先ほどの着物の女について詳しく聞いた。

赤い着物を着て、黒髪は長く、どうやら俺を気に入っているらしい。。。。


怖くなった俺は、その日はみんなを説得してその場からすぐに撤退した。

みんなは納得していなかったが、Aに続いて俺までおかしくなったことから、少し不気味に思ったらしい。


その後、彼女に俺の送った写真を見せてもらうと、確かに俺の隣には

赤い着物を着た、黒髪の女が写りこんでいた。

ニターっと笑った顔で、俺の腕をぎゅっと掴んでいたのだ。


その日以来、俺は興味本位で心霊スポットに行くのをやめた。


Aと彼女がいなかったら、あのまま俺はどうなっていたのか分からないのだ・・・・





<廃病院への肝試しと心霊体験>終わり

引っ越しました:廃病院への肝試し

2013年7月18日木曜日

怖い話実話「泣きじゃくる女」

怖い話実話「泣きじゃくる女」

加藤さんが、体験した怖い話の実話。

加藤さんは、一人旅であるホテルに泊まった。

案内されたのは、4階の部屋だった。

安いホテルだったため、それほど綺麗ではなかったが、貧乏旅行には十分な部屋だ。

ホテルに荷物を置くと、その日は観光を楽しむ加藤さん。



観光疲れとでも言うのだろうか、ホテルに帰ってきたときにはクタクタで、ベッドに入るとすぐに眠りについてしまった。

コンコン

コンコン

・・・・・・真夜中、ふと目が覚める加藤さん。

何か音が聞こえる気がする。

コンコン

あれ、誰かが部屋の窓を叩いている。

「どういうことだ?」と思いながらも、窓のそばに行ってみる加藤さん。

窓の外は、ベランダのようになっていて、人が立つスペースがあるのだが、そこに1人の女が立っていた。

女の顔を見ると、泣きじゃくっている。

それを見た加藤さんは、本能的に恐怖を感じてしまい、窓を開けることはしなかったが、

「どうしたんですか?」

と尋ねる。

すると、泣きじゃくっている女は、

「私は隣の部屋に泊まっている者です。ベランダから外の景色を眺めていたら、窓が開かなくなってしまい、もう1時間以上外にいます・・・どうか、部屋の中に入れてもらえませんか?」

というのだ。

なるほど、隣に泊まっている人か。

話に不自然な点は見当たらないように思ったものの、なんとなく不気味さを感じていた加藤さんは、その窓を開けるのをためらった。

この人を部屋に招きいれていいものだろうか?

迷った末、加藤さんはその女を部屋に入れずに、フロントへ電話することにした。

この女の人を助けるためには、自分が部屋に招き入れるよりも、フロントへ電話した方が良いだろう。

・・・・・・・・フロントに電話してもなかなか出てくれない。

十数回コールが鳴ったところで、やっと電話が通じた。

加藤さんが、フロントのスタッフに事情を説明すると、

「少々お待ちください。確認してまいります。」

とのこと。

1分ほど、待つと、フロントのスタッフはこう言った。

「お待たせしました。お客様のお部屋は、4××号室ですよね?その両隣のお部屋とも、本日は使われていないのですが・・・」

加藤さんの体中にトリハダが・・・・

あわてて、ベランダを見てみると、そこには誰もいなかった。

フロントとの電話を切り、もう一度入念に調べてみたが、ベランダには誰もいない。

あの泣きじゃくる女は、いったい誰だったのだろうか?

もしも、あのまま部屋に招き入れてしまっていたら、加藤さんはどうなっていたのだろうか・・・・?

この怖い話は、加藤さんが実際に体験した実話のなのだ。


もしかすると、今度はあなたの泊まるホテルに・・・・




<怖い話実話「泣きじゃくる女」>終わり

引っ越しました:泣きじゃくる女

2013年7月16日火曜日

怪談話「笑う少年」

怪談話「笑う少年」

これは、本当にあった怪談話。

Aさんの運転でBさんは助手席に乗っていた。

車通りの少ない夕方の道を走っていると、前方にゆっくりと走っている車が見えた。

時速30キロ出ていないくらいのスピードだろうか?

「なんで、この車、こんなにゆっくり走ってるんだよ?」

と思いながらも、Aさんはその車を追い越す。

その瞬間、なんだか気味の悪いものを感じた。

なんだ?今の悪寒は?と思いながら、ふとバックミラー越しに先ほど追い抜いた車を見る。

運転席に中年男性が1人、助手席には小学生くらいの男の子が乗っているのだが、どうも少し様子が変だった。

その少年、まず髪の毛がボッサボサなのだ。

少し髪が長いとかそういうレベルではなく、まるで原始人のようにボサボサの髪。

そして、大きな口をあけて大笑いしているようだった。

なぜ笑っているのかなど、Aさんには分からない。

AさんはBさんに聞いてみる。

「なあ、後ろをゆっくり走っている車があるだろ?そこに、変な小学生くらいの少年が乗ってるの見えるか?あの少年、ちょっと変じゃないか?」

「え・・・・?ああ、いるね男の子が。なんだか楽しそうに笑ってるな。・・・・あっ!」

Bさんも、その少年と、後ろの車のおかしさに気がついたらしい。

その少年は、大笑いしているのに、となりで運転している中年男性は無表情なのだ。

まるで、隣に誰も乗っていないような雰囲気だ・・・・

「・・・・俺・・・・・あの車と少年、気味が悪い。なんで少年、あんなに笑ってるんだよ?今の日本であんなに髪がボサボサの子、見たことねえし・・・・」

Bさんが、そう言葉にしたときだった。

後ろの車が、急にスピードを上げだした。

なんだ?

どんどん、加速するその車。

Aさんの車はすぐに追い越され、どんどん加速。

ゆうに100キロ以上出ていると思われる。

次の瞬間、その車は横のガードレールに突っ込んで大破した。

もう少し近ければ、Aさんの車にも被害が出そうなくらい派手なぶつかり方だった。

でもなんで、一本道でガードレールに突っ込むのか?

Bさんは、青ざめた顔でぼそりと言った。

「俺、見ちまった。前の車が衝突するとき、横の少年がハンドルいじってた・・・・」

AさんとBさんは、すぐに救急と警察に連絡をする。

そして、大破した車から運転手と、例の少年を救出しようと、近くに行ってみるが、車の中には少年の姿は見えなかった。




後から分かった話だが、この車の運転手は即死。

他に乗車している人間は居なかったそうだ。

つまり、あの不気味に笑う少年はこの世のものではなかったのかもしれない。


<怪談話「笑う少年」>終わり

引っ越しました:笑う少年

2013年7月15日月曜日

怖い話「タクシーの幽霊」

怖い話「タクシーの幽霊」

これは、あるタクシーの運転手さんから聞いた怖い話。

そのタクシーの運転手さんを、仮に田中さんとしておきましょう。

田中さんは、深夜、乗客を探して都内を車で走っていました。

すると、一人の乗客が見つかり、その客は西東京へ行って欲しいとのこと。

現在地からは、それなりに距離があるため、おいしい客です。

田中さんは、そのお客を乗せて車を走らせながら、ざっと計算してみました。

「ここから、西東京まで行って帰ってくると、往復で約2時間か・・・じゃあ、この客で今日は最後かな。」

と。

順調に車は進み、そのお客さんを無事に目的地まで送り届け、さて東京(23区)に帰ろうと、車を走らせていると・・・

前方に、こちらに手を上げている女の人が居ます。

一応、会社に戻ろうとしていたところだったので「回送中」にはしていたのですが、そのお客のそばに停車し、どこまで行くのか尋ねた田中さん。


なんと、偶然。

そのお客の行きたい場所は、これから田中さんが向かう場所(会社)のすぐ近くでした。

それなら、乗せない手はありません。

女の人を車に乗せると、アクセルを踏み込む田中さん。


でも、そのお客が、なんだかおかしいのです。

まったく口を開かず、世間話を振ってみても返事はない。

「ああ、気味が悪いなー。」

と思いつつも、車を走らせます。



しばらく行くと、薄暗い街頭の少ない1本道に差し掛かったそうなのですが、そこで急に客の女の人が叫びだしたのです。


「ギュワアアアアーーーーー!!!」



そのあまりに異様な叫び声に、思わず失禁しそうになったという田中さん。

「お客さん、どうしました?」


尋ねても、その女の人は一向に叫ぶのをやめない。


仕舞いには、運転席の後ろをガンガンを蹴り出したそうなのです。

怖くなり、急ブレーキを踏み停車する田中さん。


「お客さん、いったいどうしたって言うんですか?!」


田中さんが後ろを振り向くと、その女の人の姿はなかったそうです。

もちろん、車のドアは開けていませんし、窓も開いていなかったのに。


あわてて、後ろの座席を調べる田中さん。


でも、そこには誰も居ない・・・



ただ、運転席の裏側には、靴で何度も蹴ったような跡が無数に残っていたそうです。



田中さんは、恐怖のあまり、その日はずっと震えていたといいます。



タクシーに乗り込んできた、この女の人は幽霊だったのでしょうか・・・・?


この世に未練を残し、今でもどこかを彷徨っているかもしれません・・・・・・・


<怖い話「タクシーの幽霊」>終わり。

引っ越しました:タクシーの幽霊

2013年7月14日日曜日

バーの自縛霊 不思議な体験

バーの自縛霊 不思議な体験

これは、知り合いのAさんが体験した怖い話です。

Aさんは、あるとき旧友のBさんと街で偶然再会し、お互いに時間が空いていたものだから、じゃあ今から一緒にのみに行くか、ということになったそうです。

ふと見ると、そばにバーがあるのが見えたそうなので、あの店でいいかと、深いことは考えずにそのバーに2人で入りました。

店の雰囲気も悪くなく、2人で思いで話に花が咲いていたときに、Bさんがおかしなことを言い出したそうです。

「なあ、あのカウンターに座っている女変じゃないか?」

見ると、カウンターには1人で来ているであろう客が何人か座っているのですが、その中に1人だけ女性客が混じっている。

一見普通の女性客。

Aさんには、何が変なのかまったくわかりません。

Aさんの座っている位置からでは振り向かないとカウンターは見えないのですが、Bさんの座っている位置からはカウンターがよく見えるので、Bさんはその女性をしばらくの間観察していたそうなのです。

で、Bさんがその女性客を見ていると、その客は誰とも話をしていないのです。

それどころか、飲み物が手元にない上に、まったく動かないのだそうです。

最初は、メニューが決まっていないだけかと思っていたそうなのですが、1時間近くも誰とも話さずに何も注文していない。

おまけに、微動だにしない。

これは普通じゃありません。

その女性客に対して、店のスタッフもリアクションが無いそうなのです。

普通なら、スタッフが客に話を振ったり、注文取ったりしますよね?

それがまったくないとなると、明らかにおかしいです。

でもまあ、ほかの客のことを気にしても仕方がないので、2人はそれ以降その女性客を見ないようにして、楽しくお酒を飲んでいました。

1時間ほど経ったでしょうか。

またBさんが、ふとカウンターを見ると、さっきの不思議な女性客が消えていたそうです。

あれ?

と思って、ちょうどメニューを聞きにきたアルバイトのスタッフに

「さっきカウンターに座っていた女性のお客さん、帰ったんですか?」

と尋ねました。

すると、そのアルバイトの子は

「え?いつの話ですか?今日はまだ、カウンターに女性客は座ってないですよ?」

と答えたのです。

AさんもBさんも、その女性客のことを見ていますから、「そんなはずない、このアルバイトの子が勘違いしているだけだ」と、店長さんにまで聞きに行ったそうです。

アルコールが入っているせいで、ちょっとしたことが気になったのでしょうね。

で、店長にカウンターに座っていた女性客のことを尋ねると、明らかに顔色が変わって、

「・・・・え?女性客、見えましたか?・・・・ああ、帰ったんですかね・・・・」

と動揺を隠せないような、歯切れの悪い答え。

AさんもBさんも、なんだか気味が悪くなり、その店を出たそうです。


後日、Aさんは、「あれは、おそらく、店の自縛霊だ。本当に不思議な体験だった。」と言っていましたが、その客は幽霊だったのかもしれません。

これを実際に味わうと、完全に不思議な体験でしょうし、けっこう怖いでしょうね。
参考:バーの自縛霊 不思議な体験